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ECサイト構築ガイド第1回 ~準備と届出~

日本におけるEC(電子商取引)の規模は13.8兆円*に拡大され、今後ますます利用機会の増加と市場規模の拡大が予想されます。新たにECサイトを立ち上げる企業も増えて、商取引全体に対する電子商取引化率は4.75%*に上ります。
*出典:消費者庁「オンライン決済、スマホ決済の動向整理(2016年6月30日)」資料より

そのような時代背景の中、これからECサイトを開業するWEBショップオーナー様へ向けたECサイト構築ガイドとして、ECサイト作成時における準備するものと必要な届出を中心にご案内いたします。しっかりとした準備がECサイト成功への第一歩でもありますので、最後までお読みいただければ幸いです。

 

準備するもの、届出るもの

ECサイトを開業・開店するにあたって必要な準備物は次の通りです。

  1. パソコンや撮影機材の準備
  2. 決済方法の検討
  3. 配送業者と送料
  4. 販売許可証取得と開業届
  5. 特定商取引法に関する表示
  6. 商品情報の準備
  7. ECサイトのデザイン、商品棚ページ作り

6番目と7番目は一度にお伝えするには情報量が多いため、別のエントリーでお伝えしていきます。

 

1. パソコンや撮影機材の準備

  • パソコン
    WindowsパソコンでもMacでも大丈夫です。
    インターネットサーフィンが快適に行える程度のパソコンスペックがあれば十分ですが、セキュリティ対策ソフトは最新のものを使って進めていきましょう。
    また、大きめのモニターを備えているパソコンを用意できると今後のECサイト構築や運営が楽になります。
  • プリンター
    ご案内状や納品請求書を作成して印刷する際に必要です。
    A4のモノクロ印刷がメインになると思いますのでカラープリンターでなくてもかまいません。プリンターとA4用紙を用意しましょう。
  • スキャナー
    パンフレットやカタログなどから商品写真をスキャンして掲載する際にあると便利です。
  • 画像編集ソフト
    主に撮影写真のレタッチやスキャン画像の加工に使います。
    デザインや写真加工ソフトで定評のある「Adobe Photoshop」や高性能・高機能ながら無料ソフトの「GIMP」などが有名です。もちろん普段使われているソフトでもトリミングやリサイズ修正が出来れば十分活用できます。
  • 撮影機材と撮影セット
    商品写真を撮影するのに欠かせないのはカメラですが、上手に撮影するにはカメラの性能よりも周りの撮影機材や演出セットです。その中でも三脚・光源・レフ板は必須アイテムです。
    撮影テクニックは別のエントリーでご紹介いたします。

 

2. 決済方法の検討

現代ではオンラインショッピングの決済手段は多岐に渡ります。
主なところでは「クレジットカード払い」が60.9%*で、今後ますます増加傾向にあります。次いでオフライン決済(代金引換、コンビニ払い、銀行振込)が多く利用されていますが、オンライン決済(カード払い、電子マネー、キャリア決済)が増加する一方でオフライン決済は減少傾向にあります。
*出典:消費者庁「オンライン決済、スマホ決済の動向整理(2016年6月30日)」資料より

ニーズが高い決済方法を用意しておくと購入機会の損失を防ぐことも可能です。とはいえ、無理に決済手段を多く用意するのも運営費用に負担がかかるため、無理のない範囲で可能な限り各種決済方法を用意する事をお勧めします。各種決済方法を利用してもらうためには、お店から決済代行サービス提供事業者への申込みが必要です。

主な決済方法と決済代行サービス提供事業者(一例)
決済方法 概要 提供事業者(一例)
クレジットカード決済 シェア率No.1のオンライン決済方法です。カード与信枠の確認が即時行われるので後でトラブルになりにくい特長があります。 GMOペイメントゲートウェイ
ソフトバンク・ペイメント・サービス
Epsilon
PayPal
コンビニエンス決済 お手軽便利に行き来できるコンビニのレジで支払えるオフライン決済方法です。カード払いに不安のある消費者にも人気です。 GMOペイメントゲートウェイ
ソフトバンク・ペイメント・サービス
Epsilon
ZEUS
代金引換 商品受け渡し時に宅配業者へ支払うオフライン決済方法です。商品と引き替えなので消費者も安心して利用できます。 ヤマト運輸
日本郵便
佐川急便
等、各配送業者
銀行振込 指定口座に入金してもらう支払方法です。入金管理がしやすので、ECサイト開店当初は必須です。 銀行口座
郵便振替 利用者に郵便振替用紙を送付し、指定の郵便口座に入金してもらう支払方法です。入金確認は3~4日かかります。 郵便振込口座

※このほかにも多数の決済代行サービス提供事業者がありますので、貴店にとって都合の良い決済代行サービス提供事業者をご検討ください。

 

3. 配送業者と送料

ECサイトでは販売者の顔が見えない分、消費者の心理に不安はつきもので、そのひとつは商品配送にあります。
たとえば「商品が無事に届くだろうか?」「破損していないだろうか?」「受け取れる時間は限られているけど大丈夫だろうか?」などの消費者の不安に対して、「高額商品なので保険かけたい」「集荷してもらいたい」「決済代行の回収サイクルはやくして欲しい」などの店舗オーナー様のニーズもあり、このような様々なニーズに対応できるように各配送業者もサービスを充実させています。
ぜひ貴店や購入者のニーズにあった配送業者を比較検討して、消費者へ安心して商品をお届けできるようにしましょう。
ここではECサイト運営者に人気の高い配送業者の一例とサービス内容をご紹介いたします。

配送業者(一例)とサービス内容
ヤマト運輸
クロネコ宅急便
郵便局
ゆうパック
佐川急便
飛脚宅配便
送料
※東京発60cmサイズ2kgの場合
北海道:1,339円
北東北:1,015円
南東北:907円
関東:907円
信越:907円
北陸:907円
中部:907円
関西:1,015円
中国:1,123円
四国:1,123円
九州:1,339円
沖縄:1,339円
北海道:1,280円
東北:850円
関東:850円
(東京:800円)
信越:850円
北陸:850円
東海:850円
近畿:950円
中国:1,080円
四国:1,080円
九州:1,280円
沖縄:1,330円
北海道:1,188円
北東北:864円
南東北:756円
関東:756円
信越:756円
東海:756円
北陸:756円
関西:864円
中国:972円
四国:1,080円
北九州:1,188 円
南九州:1,188 円
一部離島は中継料が別途加算されます。
配達日時指定 無料 無料 無料
配達時間帯 9:00-12:00
14:00-16:00
16:00-18:00
18:00-20:00
19:00-21:00
9:00-12:00
12:00-14:00
14:00-16:00
16:00-18:00
18:00-20:00
20:00-21:00
8:00-12:00
12:00-14:00
14:00-16:00
16:00-18:00
18:00-20:00
18:00-21:00
19:00-21:00
大きさ制限
縦 x 横 x 高さの合計と重量
160cm以下
25kg以下
※同社別サービスで200cm/30kgまで対応可能
170cm以下
25kg以下
※オプションで30kgまで対応可能
160cm以下
30kg以下
※同社別サービスで260cm/50kgまで対応可能
代金引換時の支払方法 現金
クレジットカード
電子マネー
現金 現金
クレジットカード
電子マネー(QUICPay)
デビットカード
損害賠償限度額 30万円まで 30万円まで 30万円まで
その他サービス ・宅急便コンパクト
60サイズ未満の小さい荷物用
・ネコポス
小さな荷物をポストへ配達
・ヤマト便
160cm以上の大きな荷物用
・クール宅急便
生鮮品の配送
・パソコン宅急便
精密機器の配送
・クロネコDM便
カタログ等をポストへ配達
・重量ゆうパック
25kg超え30kg未満の重たい荷物用
・チルドゆうパック
生鮮品の配送
・当日配達ゆうパック
午前中預かりの荷物を当日配達
・定形外郵便
小包等の小さな荷物の配送
・レターパック
書籍等の小さな荷物の配送※一律料金
・国際郵便EMS
海外への配送
・クリックポスト
衣類や小物等の小さな荷物(規定あり)郵便ポストへ投函して配送※一律料金
・飛脚ラージサイズ宅急便
160cm/30kg超えの大きな荷物用
・飛脚航空便
航空機利用出北海道から沖縄まで翌日配達
・飛脚クール便
生鮮品の配送
・精密機器輸送サービス
パソコン等精密機器の配送
・大型家具・家電設置輸送サービス
ドライバー2名で配達設置※組み立て工程は別途作業料がかかります。

※料金・サービス内容は2018年10月時点のものです。

 

4. 販売許可証取得と開業届

販売商品によっては販売許可や資格取得が必要で、店舗案内で明示する義務があります。

国内商材を取り扱う場合に必要な許可・資格
商材 許可・資格、内容 取得方法
酒類 【通信販売酒類小売業免許】
アルコール度1度以上の酒類を扱う場合に必要です。
所轄税務署
中古品 【古物商の許可】
古物とは使用歴のある物・新古品等を指します。古物を仕入れて販売する際に必要な許可証です。
古物営業法施行規則では13品目が古物として分類されています。
美術品類、衣類、時計・宝飾、車、バイク、自転車、カメラ等、PC等事務機器、機械工具類、家具・楽器・CD等、皮革・ゴム製品類、書籍、金券類
所轄警察署防犯係
食品 【食品衛生責任者】【食品衛生法に基づく営業許可】
手作りのケーキやお菓子など、食材を調理・製造して販売する場合に必要な営業許可になります。前提として食品衛生責任者の資格が必要です。
所轄保健所
動植物 【動物取扱業の登録】
犬や猫などの小動物、爬虫類を販売する際に必要な手続きです。2006年6月の動物愛護法の改正により届出制から登録制に切り替わりました。
各都道府県知事

 

輸入商材を取り扱う場合の輸入規制と法律
商材 内容 手続き先
食品 食品一般 厚生労働省検疫所
精肉・食肉加工品
穀物、果物、豆類等 農林水産省植物防疫所
植物 植物、種子類、生花、果物、ドライフラワー 農林水産省植物防疫所
食器 ストロー、スプーン、フォーク、お皿、グラス等 厚生労働省検疫所
乳幼児用品 幼児用玩具、哺乳瓶等
酒類 ビール・洋酒等
動物の加工品 毛皮・革製品等が該当しますが、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)では、生きている動植物のほかにも、それらの部分や原材料とする加工品も対象となりますので、取り扱いには十分な注意が必要です。 経済産業省

 

開業時に必要な届出
必要書類 内容 提出先と期限
個人事業の開廃業届出書 未提出でも開業可能ですが、青色申告を行う場合は事前申請と届出が必要です。 所轄税務署
開業から1ヶ月以内
個人事業の開始申請書 法人設立や個人事業を開始した際に必要です。 所轄の役場・税事務所
開業後すみやかに提出
所得税の青色申告承認申請書 青色申告を行う場合に事前申請が必要です。 所轄税務署
開業から2ヶ月以内

 

5. 特定商取引法に関する表示

消費者とのトラブルを防止するためにインターネットで商品販売を行う際は「特定商取引法に関する表示」をECサイト上に明示するように法律で義務付けられています。

特定商取引法に関する表示
項目名 記載内容
ショップ名 ECサイトの名称
販売業者 販売業者の名称(会社名、屋号)
販売責任者 販売責任者の氏名
所在地 販売業者の所在地
電話番号 販売業者の連絡先電話番号
FAX番号 販売業者の連絡先FAX番号
メールアドレス 販売業者の連絡先メールアドレス
ホームページURL ECサイトのURL
取扱商品 取扱商品の名目や種類
許認可・資格 販売許可証や資格があれば記載
販売数量 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件があれば記載
商品代金以外の必要料金 商品代金以外に必要な料金があれば記載
例)送料、代金引換手数料、振込手数料等
申込の有効期限 申込の有効期限があれば記載
引き渡し時期 商品発送タイミングや受け渡し時期を記載

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はECサイトを開業・開店するにあたって必要な準備物をご案内しました。手間のかかる手続きが多い事前準備ですが売れるショップ作りには欠かせない事ですので、しっかりと準備しましょう。

次回以降のエントリーでは下記内容についてご案内します。

商品情報の準備(商品の説明文、写真等の準備)
ECサイトのデザイン、商品棚ページ作り

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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