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全樹脂電池とは?安全かつ高容量・高性能の次世代電池に注目

No.1のタケミです。

パソコンやスマートフォン、蓄電池などに搭載されているリチウムイオン電池。
課題となっている安全性・信頼性を高めるために、日々研究が重ねられています。
今回は、2021年に量産開始を目指している次世代のリチウムイオン電池「全樹脂電池」についてお伝えしていきます。

目次

1. 全樹脂電池とは
2. 全樹脂電池の構造
3. 全樹脂電池の性能やメリット
4. 全樹脂電池の用途
5. まとめ

1.全樹脂電池とは

全樹脂電池(All Polymer Battery)とは、APB株式会社と三洋化成工業株式会社が共同開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池です。

従来のリチウムイオン電池は、正極にリチウム含有金属酸化物、負極にグラファイトなどの炭素材、電解液に有機電解液を用いています。
一方、全樹脂電池は、正極・負極ともに樹脂製とし、電解液はゲル状の樹脂に置き換えられています。

 

2.全樹脂電池の構造

バイポーラ構造とは、電流が電極の厚み方向と垂直な方向に流れる構造です。
同時に1枚1枚の電池セルをそのまま重ねることで直列に接続できます。

引用:先進型二次電池による次世代のエネルギー変革 未来の人工物を支える全樹脂電池 (LSiP)

このセルを積み重ねることによって、大容量の電池になります。

 

3.全樹脂電池の性能やメリット

①低コスト
製造がシンプルなため、部品点数を減らしたり製造プロセスを簡略化したりすることが可能です。このことにより、生産性が向上し低コストが期待できます。

②安全性が高い
従来液体状だった電解質と金属が樹脂に置き換わるため、爆発・発火の可能性は基本的にありません。ショートした時でも大電流が流れることがないですし、ドリルやはさみで穴を開けても温度上昇は1℃以下で発火しません。

③高エネルギー密度
従来型リチウム電池より軽量となるため、重量あたりのエネルギー密度は高まります。

 

4.全樹脂電池の用途

全樹脂電池の用途には、ビルなど施設の大型定置用蓄電池があげられます。
また、IoTが普及している昨今、軽量という特徴を生かしてスマートウォッチなどのウェアラブル機器なども考えられます。
さらに、樹脂で構成しているため形状自由度が高いことで、生活関連や医療など多種多用な場所での使用も期待されています。

 

5.まとめ

私たちが安心・安全に生活できるよう、化学は日々進歩しています。
全樹脂電池が安全だと立証されれば、情報・エネルギーネットワーク時代に生きる私たちの生活はさらに向上していくことでしょう。

今後、安全性だけでなく、電池の寿命や新たな課題など調査し続けていきます。
研究者に敬意を払い、技術の進歩に期待したいと思います。

 

非常用蓄電池【E.P.Smoble】株式会社No.1